菅谷不動尊 利府町

亀屋石材のブログを訪れてくれてありがとうございます。

今日は地元、利府町の菅谷不動尊内にある「宝篋印塔」の修理に携らせていただきました。「宝篋印塔」(ほうきょいんとう)と云います。

地震の影響で古い石碑が倒れたままでした。険しい山の中にある為に工事費用がかさむような場所でした。

お不動様の信者の方の「ちゃんと直してあげたいんだ」という強い気持ちを伝えられ
、私の気持ちも動きました。私が中学生の頃に学校帰りにいつも寄り道してアイスを買って食べていた「お店」のお婆さんだったからね。そりゃあ私も恩返しのつもりで
動きます!

山に入ると草木が生い茂る中、倒壊した石碑は伸びきった草木に覆われていて原型が判らないほどでした。

菅谷不動尊内 宝篋印塔

草木を刈っていくうちに露わになって倒壊してる石碑は宝篋印塔だと思いました。

昔のお墓の形と云えば、泥人形、芋割型、五輪塔、多宝塔、宝篋印塔、とあるように
このお墓は、位(くらい)の高い方のお墓だったのだろうと思います。
古い為に彫刻もほぼ判らなくなっており、文献も残っていないようです。

埋まりかかっていた石を拾い上げ組み立てていくと、それはそれは当時の手仕事の匠の技が詰まった宝篋印塔でした。上蓮華、下蓮華が彫刻され、四方には梵字が刻印され、宝珠と呼ばれる上の長い部分の石は「小叩き仕上げ」が施されているものでした。

昔々の職人の手仕事、そしてこれらを山中へ一つ一つ運んでいる様子が目に浮かびます。相当な労力だったに違いません。
我々の場合は必死の思いでここまで移動型クレーンを運び込み、ラジコン操作で組み立てて行きましたが、感慨深くこの仕事をさせていただきました。

凛とした姿で佇む「宝篋印塔」。

ここを歩く参拝者さまにも沢山見て頂けるように、さっぱりと草木を刈りました。
お墓は3メーター程高さあります。

石が古い為に耐震ボルトや穴あけなどは一切してませんが、地震でまた倒れたら、、
必ずまた直しに来ますよ❣ 何度でも直しますよ❣

ここの「菅谷不動尊」では境内の後ろにあるお不動様から「湧き水」がまだ出ており時折、参拝者が水を汲みに来るほどです。眼病に効くという諸説もあります。
出会った方は「お酒の水割り用に、、」なんておっしゃってましたが、いずれにしても効きそうですね。

良いご縁からとても清々しいお仕事をさせていただきました。

協力:石工只ノ